2011年1月11日火曜日

2011年1月11日 ボリビア

途上国に派遣、と言っても首都ラパスではそれほど途上国を感じる事はない。
それは多分経済格差がある社会で、上位に位置する場所で生活しているからだ。
知り合う人間も政府関係者や大学の教授、弁護士など日本では知り合うことも
ほとんど無いような職種の方と話す事も多い。

ボリビアでの交通手段で一番よく使うのはミニブスという乗り物。1回の乗車で
Bs.1.5。だいたい20円ぐらいになる。我々のようなゲストにとってはそれが
倍のBs.3の40円になろうが、それほど経済的ダメージは受けない。それは
収入水準が先進国に近い経済的に上位にいるボリビア人にとっても同じである。
タクシーは初乗りがBs.8程度。ラパス市内ならMaxでBs.20ぐらいだろう。
ガソリン価格が1リットルBs.3.5であることを考えると、人件費がどれだけ
安いのかが見えてくる。

政府の決定で昨年末に1週間だけガソリン価格が倍増し、一時的なインフレが
起った。低収入者は怒り、デモを行い、一部では現政権に関わる建物を襲撃した。
市民の抗議に政府は屈し値段を元に戻した。

この一連の報道でボリビア政府がどれだけ国内の様々なプロダクトに補助金を
出しているのかを知った。ガソリンのほかにも砂糖、油、小麦、セメントなど
生活の基礎となるものに出ており、これにより低収入の国民は生活の安定を保っている。

しかし、同時に全てのこれらのプロダクトが密輸の対象になっている。周囲の国、
ペルー、ブラジル、アルゼンチン、パラグアイと比べ価格が半値程度なので、
ボリビアで購入し他国で売れば大もうけできる事になる。密輸の摘発のニュースは
時々聞くが、あまり効果的には摘発できていないらしく、後を絶たない。

年々密輸の数は増えており、補助金の金額もまたすごい勢いで増えている。
政府はこの問題に対して対応を迫られており、年末のガソリンの補助金カットも
こういった問題に対する対策の一つだった。しかし、国民の理解が得られなかったので、
別の方策を出す必要がある。

日本の経済関連のニュースは株価などが多いが、こちらではよく砂糖と鶏肉が
取り上げられる。鶏肉の値が上がったときなどは鶏肉屋と主婦のバトルなんかが
放送されていた。生活によく使われる製品の価格上昇は常々収入弱者の脅威であり、
日本で石油関連商品が20%値がりして騒ぐのとはまったく次元が異なる。

JICA事務所は今回の事態を重く見ており、どのように政府が進むか注意深く観察している。
国外からの任国外旅行に関しては緊急時の対応が難しいため中止しているが、
ボリビア国内はそれほど危険さは感じられず、全ての隊員は制限無く活動している。
国内旅行も別段制限はなく行える。

平穏、それは嵐の前の静けさなのだろうか。

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